麻婆豆腐の作り方

読者の皆は料理をするだろうか?
これを見ている独身男性の読者は、家庭という枠組みとは無縁な故に必要に迫られて料理をするという場面は殆どないだろう。そのために、多くの人は外食産業の企業努力(という名の労働者の搾取)によって作られた、それなりの味それなりに安い値段の弁当なり総菜なりを食していると思う。

その状況下において、我々はなぜ料理をするのだろうか。
普段は外食だけど、2日に1回とか週に数回とか2週に一度くらいとか、一定の頻度で料理をする人はいると思う。何故か?
その答えは外食では味わえない自分好みの味を楽しみたい、無限の時間を掛けて手が込みすぎた料理を生み出す趣味を持っているか、概ねどちらかであろう。
後者のことはよく分からないが、前者は食事というどんな人間にも与えられた機会において、多少手を加えてでも美味しいものを食べその効果を最大化するという、ごくありふれた誰もが自然に行うものだと思う。

 

さてここから本題だが、そうやって多少の料理をして自分好みの味を生み出す時に最大の課題が生まれる。それはどうやって自分好みの味を生み出すのか?、つまり自分にとっての最適なレシピの策定である。

世の中名前の付いた料理に対してそのレシピは沢山ある。それはその通りで、人それぞれが思うその料理の味が無限にある数だけ再現の手法も存在しており、風味に変化をもたらした時にはその振れ幅がされに広がっていく。

料理は奥が深くていいな。

 

 

………この記事ではそんなことを言いたいのではなく、そんなに作り方があったら自分好みの味の再現方法が一向に分からないではないか!そういった環境に問題提起をし、それを少しでも解決できるようにしたいと考えたのである。

自分好みの味を自らの手によって見つける方法は至難の業である。店で食べたあの味が良かった、運よくその店で作り方を聞けて自宅で作ったがなんか味が異なる。何が違うんだ。料理をするとそんなことが多くあると思う。そして、毎日料理をしない我々はスキルが足りないためにその解決策を上手く作れず、再現できないが食べたい味が生まれるのだ。

さて、それに対しての解決方法とは何か。筆者の用意した答えは「とにかく多くの情報に当たり、試行回数を増やせ」である。結局のところ、料理は答えがないので自分で見つけるしか無いのだ、原材料の味が分かっていればこれをもう少し加えた方がいいだとか、加熱の順番を変えると風味が変わるだとか、そういったことを少しずつ知識として蓄え、そして前回とは違う調理法、材料を試して理想の味を求める必要があるのだろう。

 

 

【本編】

ということで筆者がよく作る麻婆豆腐のレシピを公開する。
但し、よくネットにある材料とその製法だけあってもそういう作り方があるのか…になるだけなので、材料が味に与える影響や材料の投入の順番の意味等のメモを付け加えることとする。このレシピによって、読者の皆の理想の麻婆豆腐を生み出す一助となれば幸いである。

なお、本編前に述べたように、料理は試行錯誤の連続であり、材料製法の変化での試行回数が求められる。筆者の書いたものからあらゆる要素を変化させる余地がある事を念頭に置いて読むべきである。

 

 

・概要

  1. 料理名:麻婆豆腐
  2. 味詳細:醬油と所謂中華調味料をベースとした味に、辛味として豆板醬と花椒を加えた。それぞれの調味料等の量によって味は変化するが、痺れる辛さと旨みでご飯が進む味である。
  3. 食感:素材を炒めた通り。挽肉炒めが好きな人には合うか?スープは少なめ。
  4. メモ:ネット上に転がっているレシピを複数組み合わせた。恐らく最も影響を受けたのはNHKみんなの今日の料理HPにある陳健一の麻婆豆腐であるが、スープの有無などで違いがある。

 

 

・材料

  1. 豚挽肉200g:筆者はいつも220g前後のものを使用している。赤身のものでも出来上がりに大差はなかった。
  2. 木綿豆腐一丁:筆者は舌触りと炒める際に崩れないことを好んで木綿を使用。恐らく絹でも問題ない。なお、豆腐の種類によっては完成時に汁が出て一般的にイメージされる麻婆豆腐に近くなった。物によっては味も変わるため、複数の豆腐を使用して好みのものを見つけるべきである。
  3. ねぎ1本:若干ねぎが多めになるかもしれないが、筆者はこれが常である。1.5本でも味に変化はない。

 調味料類

  1. 植物油
    食用油には詳しくないので種類等はよく分からない。量は炒めものにしては多いかな…くらいを推奨する。料理は大抵油多めの方が旨くなるのだ。定量的な表現だと大匙2-3杯ぐらいなのか?(測ったことがないので不明)。なお入れすぎると不味くなるような気がするので注意。
  2. ニンニクチューブ 2-3cm程度
    多分入れた方がいいと思うが、入れなくても美味しくなる。実際に作るときは調理場に物差し持ち込むなどはせず、小指の半分を目安と覚えておくべきである。
  3. ショウガチューブ 2-3cm程度
    ニンニクと同様
  4. 豆鼓(トウチ) 4-6粒程度
    豆鼓とは大豆を加工した調味料だそう。詳細はWikipedia等を見て。この調味料を加えると味が柔らかくなる。口に加えた時に醬油等ベースの味が脳に伝わるがその味がまろやかとなり、豆板醬等の辛味はその後にしっかりと効いてくる。筆者の意見としては入れた方が美味しくなると思う。無くてもよいがあって欲しい。
    筆者はユウキ食品「~中華小袋シリーズ~豆鼓」を使用している。
  5. 豆板醬 大匙2杯前後
    辛味を出す調味料。チューブ形状のものだと入れやすいのでおすすめ。製品によって味や辛味が大きく違うので注意が必要。筆者はユウキ食品「四川豆板醬」(チューブ100g)を使用している。量はそれぞれの好みに合わせて調節すべし。
  6. 甜麵醬 大匙2杯前後
    所謂中華甘味噌。入れると味が整うが、入れすぎると変な味になるので注意が必要。これもチューブがおすすめで、製品によって味が異なる。筆者はユウキ食品「甜麵醬」(チューブ100g)を使用している。
  7. 中華調味料 大匙1杯前後
    味覇とか創味シャンタンとか香味ペーストとかの名称で売られているアレである。ベースの一つとなる中華っぽい味を出す。筆者はクックドゥ「香味ペースト」(チューブ120g)を使用している。
  8. 醤油 大匙0.7杯くらい
    日本人の料理は大抵これが入る。麻婆豆腐においても例外ではない。どこの製品でも対して味は変わらないと思う。筆者はヤマサかキッコーマンの醬油を使っていた筈。
  9. 花椒(ホアジャオ) 20-30粒程度
    痺れる辛さを生み出す。これがあると無いとでは大きな違いがある。麻婆豆腐っぽさを出すためには不可欠と言っても過言ではない。好みはあると思うが、入れた方がいい。これも様々種類があるが、筆者はユウキ食品「~中華小袋シリーズ~四川花椒」を使用している。

(一覧表)

 植物油

 ニンニクチューブ 2-3cm程度

 ショウガチューブ 2-3cm程度

 豆鼓(トウチ) 4-6粒程度

 豆板醬 大匙2杯前後

 甜麵醬 大匙2杯前後

 中華調味料 大匙1杯前後

 醤油 大匙0.7杯くらい

 花椒(ホアジャオ) 20-30粒程度

 

 

・必要とされる調理器具等

  1. フライパン:小さすぎると炒めづらいのでそれなりの大きさがあるものがよい
  2. 包丁:豆腐とネギを切る。切れればなんでもいいが、切るに困らないサイズと切れ味がよい。
  3. まな板:大きい方がいい。時短を考えると豆腐とネギ(1本を3分割)、豆腐を入れた後のネギみじん切りの2場面でそれぞれの材料が入り切る程度の大きさが望ましいか。
  4. 皿:映えを狙わないなら取り分け皿に直接盛る方がいい。洗う皿が減る。

 

 

・作り方

筆者の調理時間は下記の手法を延滞なく行った場合で概ね15分である。
なお、炒める時間は適当である。正直肉に火が通っていて、味付けが全体に均一に付いていればなんでもいいので、各々の好みに合わせてよい。

 

  1. 植物油を引き、ニンニク、ショウガ、豆鼓、豆板醬を入れ炒める。
    筆者は香り出しを意図して熱が加わったな程度まで炒めているが、この後挽肉と一緒に熱を加えるので入れるだけでもいいのかもしれない。
  2. 挽肉を入れ炒める。炒める程度は挽肉を崩した後に全体に火が通り赤い部分が無くなるまで。
    なお、時短のためにこの炒めている間に、①豆腐をパックから出して適当な大きさに切る②ネギを3等分にするの2点を実行していると後が楽である。
  3. 甜麵醬、中華調味料、醤油を入れ炒める。この工程では味付けが均一に全体に広がり、少し熱を加えた程度で問題ない。
  4. 適当な大きさに切った豆腐を入れる。豆腐が均一に全体に広がり、味が付く程度まで炒める。
    時短のため、この時にネギをみじん切りにする。
  5. みじん切りにしたネギを入れ炒める。この時に炒めた程度によってネギの食感が変わる。筆者はそれなりにシャキシャキ感あって欲しいのであまり炒めない。
  6. 花椒を入れる。
    花椒は入れる前にコップの底等で叩き、身を砕いてから入れる必要がある。風味等を考えると多分直前の方がいいが、そんなに違わないかもしれない。花椒はしっかりと全体に均一広がっていないと突然の痺れる辛さに悶絶する羽目になるため、しっかりとかき混ぜておくことをおすすめする。
  7. 完成

 

以上が筆者流の麻婆豆腐の作り方である。